2012年7月25日水曜日

筋ケイレンと熱中症

1、筋肉がつる(ケイレンする)のはなぜ?

要因:疲労(心身の)、ウォームアップ不足、不自然な体勢、高強度運動、低高温環境、多量の発汗による脱水状態などで起こる。

普段は脳からの信号と筋肉の収縮にかかわる器官(筋、腱紡錘)とのバランスで程よい収縮をしているものが、上記のような要因により収縮のバランスが崩れ、異常な収縮を起こすもの。特に高温多湿環境下で起こることが多い。

特に原因として最も多いといわれる脱水を防ぐことが重要(夏場なら30分に1回、その他の時期でも1時間に1回はコップ一杯程度の水分を補給すべきである)だが、水だけを飲んでいると体内の体液のバランスが崩れ、逆に筋ケイレンを誘発しかねない。運動神経からの信号伝達に必要なナトリウム、カリウム、マグネシウム、筋肉の収縮をもたらすカルシウム等が汗と一緒に大量に排出されるので、これらのミネラルが不足気味になると筋痙攣は起こりやすくなる。

次に、筋肉を動かすエネルギー源が極度に不足したときも起こりやすくなる。練習の後半や競技時間の長い試合の途中には、ブドウ糖や、エネルギー代謝を活発にさせる働きもあるクエン酸などの吸収の早いエネルギー源を、タイミングよく、適量補給すべきである。

また選手は、そのエネルギー消費量に比例的にビタミンB1、Cなどのエンジン・オイルに相当する栄養素も多量に消費し、このことによってもけいれんは発生し易くなる。これらのビタミンは水溶性のため、体内に長くとどまっていることができないので、1日3~4回、これらのビタミンを補給することも必要である。

ミネラルを補うためにスポーツドリンクなどが良いが、市販のスポーツドリンクは糖分が多すぎるため水で薄めるなどした方が良い場合がある。

またこれらミネラル類を含む食品を摂取しておくなどの工夫が重要。 また、ウォームアップを十分に行い組織内の血流量を増やしておき、競技中・後に理学療法等で筋肉内の代謝物質を排出することも大事である。

筋ケイレンで筋肉の断裂がおきる心配は無いが、繰り返すことで筋肉の損傷を伴う場合はあるので対処後にアイシング+温熱を行うのも良い。
2、とっさのときの筋ケイレン対処

水分補給、テンションの強くかけないストレッチ、もみこまないマッサージ(さする程度)、アイシング+温熱、疲労を残さない為の入浴・睡眠、リラクゼーション等

水分補給のポイント

①冷たすぎない

②トレーニング前にもしっかり補給

③がぶ飲みしない

④ミネラルの補給+ナトリウムの補給

また熱中症による熱ケイレンには生理食塩水(0・9%程度)を補給する。

練習前後の体重差が2%減以内に収められるのが理想的。それ以上はパフォーマンスや集中の低下を招く。

●ふくらはぎの筋ケイレン(こむら返り)の対処法

急激なストレッチや強いマッサージはダメ。徐々にふくらはぎを伸ばしてやる(膝をしっかり伸ばし足

首を背屈する)。回復しても筋肉が硬くなっていることが多いので軽いマッサージ(さする・軽くたたく)で筋温を上げてやる。最後に確認の意味で足首を曲げたり伸ばしたりして再度ケイレンが起きないか確認する。また足底部が硬くなっている場合も多いのでそこもストレッチしてやる。

3、熱中症について

高温多湿の環境下で強い運動を行うと、放熱がうまくいかず体温が過度に上昇する。

①熱射病:体温が急速に上昇し(40℃)、意識障害、多臓器不全を起こし死亡の可能性が高い。

②熱疲労:大量に汗をかいて起こり、体温上昇、めまい、吐き気脱力感等が見られる。

③熱ケイレン:大量に汗をかき、血液中のナトリウム濃度が下がることで起きる筋ケイレン。

④熱失神:発汗による脱水で血液量が低下し血圧が下がる。めまい、失神、脈拍速く弱くなる。

●予防としての暑熱順化(しゅねつじゅんか)

高温環境に身体機能を適応させること。一般に、順化にはその環境で4~5日活動する必要がある。気温・運動強度・着衣条件を考慮しながら行う。

例えば1週間の合宿では最初3から4日は軽い運動を行う、または夕方の涼しい時間帯に行うなど暑さに慣れてから本格的な練習を行うようにする。新入生に発生が多いのは運動強度や暑さに慣れていないことが原因と思われる。 
また、クーラーの効きすぎている環境は熱中症を防ぐ観点からはあまり望ましくない。

●水分補給
飲む量は発汗量を目安にする。発汗量は体重を参考にする。一般に運動前に250~500mlの水分を取り、運動中は発汗量の50~80%を補給することが勧められている。
塩(生成されていないものが好ましい)をひとつまみ入れた水や半分に薄めたスポーツドリンク等が望ましい。また、喉の渇きを感じるのは脱水がかなり進んだ状態なので、渇きが無くても運動の初期から積極的に水分補給する。

●ランニング
疲労の蓄積した練習の最後に持久走を行ったりすると体温が急激に上昇し、実際に練習後に罰走を行って倒れる場合等が多い。適宜、休憩を入れながらの走りこみで急激な体温上昇を避けるようにする。

●ウエア
全身を覆うユニフォームを着る必要のあるスポーツでは、休憩中や移動中または練習の内容によってはウエアを脱いで調整する。また炎天下ではかならず帽子を着用する。頭頂部の皮膚温度が上昇すると体温調節中枢に過度な温度刺激が与えられ、発汗量が増加する。帽子を被ることで余分な発汗を防ぐこともできる。
●対処法

まず体を冷やすことが重要。濡れたタオルをかけてあおいだり、脇の下、頚部、鼠径部などの太い血管を調節冷やすのも効果的。言動がおかしかったり意識が無かったりした場合、まず救急車を手配し、体をひやしながら病院に搬送する必要がある。
どこか隅っこで休ませておけば大丈夫、と考えるのは危険。急に容態が変わることがあるので必ず付き添いをつけること。
4、トレーナーが提案する熱中症対策

まず、年間~1日にいたるトレーニングを計画的に実行させることが大事。暑い時期に暑熱対策をしっかり行いながら年間、あるいはその日1日の計画に基づいたトレーニングを実行することで強いアスリートを作る。
例えば夏休みにはトレーニングを涼しい時間帯に切り替える。強度の高い運動のあとは、必ず休憩をとらせ水分補給、体温を下げる工夫をするなど。トレーニングの質と量をコントロールすることでコンディションを整えるなどして年間計画とともに1日のトレーニング計画をしっかり立てておくことが重要。
第2の工夫は、選手の体力レベルをフィールドテストや形態測定を実施することで常に把握しておくこと。呼吸循環能力や肥満の度合い等が熱中症に関わる重要な要件となりうる。
第3は選手の生活環境を把握しておくということ。テストなどでトレーニングが中断される時期を把握したり、新入生への配慮も必要。
最後に、選手やスタッフへの教育。熱中症に関する基本的な知識、水分補給の必要性とタイミングに関しては十分な教育が必要。

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